おいしいワインはおいしい葡萄から。
ぶどうの品質こそがワインの味わいに一番影響を与えます。
その大切なぶどうを作っていただいている農家さんをご紹介します。
ワイン造りを 支えてくださる生産者(藤原 公平さん)
ワイナリーから北西へ車で約1時間半。京丹後市弥栄町に藤原さんが栽培するぶどう畑があります。広さは約70アール。V字に誘引された枝からは、日々の丁寧な作業の様子が容易に想像できます。
藤原さんと丹波ワインの出会いは1998年。京都府が北部の農業振興の一環として、食のテーマパーク「丹後あじわいの郷」をオープン。その際、施設で販売するワインを丹波ワインで醸造してほしいと依頼がありました。その原料を藤原さんにお願いしたのが始まりです。
Saperavi(サペラヴィ種)
藤原さんが栽培するサペラヴィ種は東ヨーロッパのジョージア原産のぶどうで、原種に近い品種といわれています。山ぶどうに近いニュアンスを持ち、ジョージア以外では栽培の非常に少ない品種です。その希有な品種を選んだのは、今となっては先見の明があったとしたいいようがありません。最近では日本でも多くのジョージアワインを見かけるようになり、自然派ワインの流行も相まって個性的なワインの1つとして人気を博しています。
京丹後市の農地
藤原さんの圃場は真砂土でゆるやかな南東斜面。標高は100mほどで、真夏の猛暑日でも気温は高いものの湿度は低く、風も心地よいです。聞けば車で10分も走れば日本海にたどり着くとのこと。湿度の低さと、流れる風が健全なぶどうを育てる1つの要素となっているようです。丹波では霜害の心配が毎年のようにありますが、ここでは皆無だそうです。近隣の農家では生食用のぶどうも栽培しているところもあり、適性があるのでしょう。
しかしそんな場所でもワイン専用品種となると少し話が違います。ワイン専用品種は日本での教本や栽培事例が少なく、ましてやサペラヴィという世界的にも珍しい品種ではなおさらのことです。
深紫の果皮とパワフルな酸味が特徴のサペラヴィ。原種に近いということもあって樹勢が強く、枝の管理が大変ですが、整然と誘因された枝ぶりをみると藤原さんの性格がうかがえます。
「毎年・毎日が勉強の連続です。」と、笑顔で話す藤原さん。毎年閑散期には全国各地のワイナリーやワインぶどう栽培農家を訪ね、情報を収集しているとのこと。
「年に1度しか収穫できないぶどう。いろんな品種のことを見聞きし、自分なりに工夫をしてます。」毎年安定した収穫量と品質を産出し続ける藤原さん。ぶどう栽培に対する探求心はとどまるところを知りません。