新宿歌舞伎町の雑踏の中を抜け、迷うこと5分。やっとの思いでたどり着いた雑居ビル。エレベーターで地下1階へ降りると重厚なドアに「A PARI COLLE」の文字。初めてのお客様なら「ここで間違いない?」と不安になりそうな怪しい雰囲気が漂う中、勇気を出してドアを開けてみる。するとそこは見るからにクラブ。カラオケだって歌うことができるのだ。しかし、ここはれっきとしたレストラン。パリコレは「玄米・有機野菜・大豆麺・国産」をコンセプトにしたオーガニックレストラン。特に発芽玄米へのこだわりが強く、添加物を一切使用しないナチュラル系化粧品メーカーのオーナーが所有している。化粧品は女性を外から美しく豊かにするが、パリコレでは食べ物を通して体の中から健康に、また心を豊かにしたい!との思いから、できるだけ日本産の厳格なオーガニックに近い食材を求め、使用しているこだわりのレストランなのだ。
今回ご登場いただくのはパリコレでシェフを務める牧野昭二さん。牧野さんは元ホテルオークラの総料理長で、ホテル在籍中は外国の国家元首などVIPをもてなす赤坂迎賓館でも料理長を務め、1996年には仏政府から「ディシブル・ド・オーギュスト・エスコフィエ」の称号を授与されているフレンチ界の重鎮。
牧野さんは実家が料亭だったこともあり、幼いころから料理に興味があり、なんと10歳にしてフレンチのシェフになることを決意。学校から帰るとすぐにテレビの料理番組をチェックし、毎回感想をノートに記してからでないと外に遊びに行かない、といった少し変わった子供だったそうだ。ホテル在籍中にフランス、ドイツ、オランダ、スイスなどヨーロッパに留学。当初2年の予定を休職してまで延長し、最終的には10年間ヨーロッパで研鑽を積んだ後、復職して総料理長に。なんとも型破りな人。
そんな牧野さんのお気に入りの丹波ワインはてぐみデラウェア。「レストランのコンセプトから日本ワインで酸化防止剤を使用していないワインを全国から集めて試飲選考した結果、てぐみが一番気に入って、それ以来使っています。自然な優しい味わい、飲み疲れしない飲み口は料理とはもちろんですが、ワインだけでも十分に楽しめる。そんなところが気に入っています。野菜をメインにした料理や、あっさりとした味付けの鶏肉や豚を使った料理などとよく合います。」
実際お店のメニュー「鶏むね肉のハムアボガド」「パプリカのスープ」と頂き、優しいほっとする味わいの料理と、てぐみの自然な味わいとのマリアージュを楽しむことが出来た。
また牧野さんに勧められて白身魚の骨を煮詰め、牛乳や生クリームを加えて作ったグラタンもいただいた。グラタンといっても驚くほどソースがさらっとしていて、いくら食べてもお腹がもたれない。また凝縮した魚貝の風味があふれ、旨味がたっぷり。もちろんスルスル飲めるてぐみとの相性は抜群であった。(但し、グラタンは大量の白身魚の骨を煮詰めて作るので、事前に予約が必要だ。)
牧野さんの作る料理は、素材の栄養が体の隅々にまでジワジワと染み渡っていくのが感じられるような優しい料理で、多くのファンが楽しみにパリコレへやって来る。
最後にパリコレの名前の由来を聞いてみた。「かっこいいから!」と、いたずらっ子のような笑顔とともに答える牧野さん。眼光鋭く少し強面であるが、人懐っこい少年のような笑顔が素敵な浅草生まれ、浅草育ちの江戸っ子である。
新宿歌舞伎町オーガニックレストラン「パリコレ」
カウンター7席 テーブル14席
【営業時間】
19:00~4:00
【定 休 日】
日曜日
【所 在 地】
東京都新宿区歌舞伎町2-25-11 兼六第五ビル B1F
【電 話】
03-3232-0698
【ご予約】
なるべくご予約をお願い致します