丹波ワインのふるさとは、のどかで緑豊かな里山が広がる京丹波町。そこは京料理を支える、滋味深い京野菜のふるさとでもあります。丹波の美しい山と水に育まれた季節の京野菜を、ワインと楽しみながら、その魅力をお伝えしましょう。

●色白美人で風味豊か 京の初夏の風物詩
京たけのこ

筍 皮むき last
京たけのこは「白子たけのこ」とも呼ばれ、色の白さと刺身にもできるほどの柔らかさ、加えて、独特の香しい風味が特徴です。下茹でして外皮を一枚一枚丁寧に剥いてゆくと、最後に艶肌のような真っ白なたけのこが姿を現します。身は小ぶりでも良く引き締まり、包丁がすっと入ってゆく柔らかさ。姫皮も繊細で、口に含むと滋味深い甘さが広がります。
●柔らかくえぐみが少ない 三百年の伝統製法

筍 last
竹林


江戸時代から三百年もの栽培の歴史をもつ京たけのこ。良質で歯ざわりが良くえぐみの少ない味わいは、「京都式軟化栽培法」という伝統製法によって生まれます。一年を通してよく手入れされた畑は、毎年秋になると一面に稲穂を敷き詰め、その上に保水力のある赤土を優しくかぶせてゆきます。お布団のようにふかふかと柔らかい土の中で成長することで肉質も柔らかく、料理の際も中までしっかりと味が染みる美味しいたけのこが育まれます。
●丹精した土造りがもたらす高い栄養成分
丹精込めた土造りによって生まれた京たけのこは、栄養成分も豊富。中でもタンパク質と炭水化物が多く、新陳代謝を高めるアミノ酸の一種であるチロシンやミネラルも豊かです。通年販売される水煮たけのこのミネラルは100g中約80mgに対し、旬の京たけのこは約300mgにも昇ります。ぜひこの時期ならではの、豊かな栄養と香り高い風味をお楽しみくださいね。

【京たけのこを楽しむレシピ×丹波ワイン】

料理&ワイン:料理集合 すめらぎ 古式部 last
色白でやわらかな京たけのこは、海老や鴨やキノコなどさまざまな食材との相性も抜群。今回は、丹波ワインが日本の和食材との相性を追求して醸造した「すめらぎ」と「小式部」の赤ワインとペアリングしてみました。新しい味のハーモニーをお楽しみくださいね。

【白子たけのこと海老の甘酢漬け】

料理&ワイン:筍と海老 すめらぎ last
海老の甘みと白子たけのこの甘み、さらに甘酢がおとな味の「すめらぎ」の複雑さを際立たせます。実山椒がアクセントに。
1.砂糖大さじ3杯、酢大さじ3杯、塩小さじ1で甘酢をつくる。
2、一口大に切った白子たけのこを甘酢に25分漬ける。
3、背ワタをとって、酒蒸しした海老を5分甘酢に漬ける。
4.白子たけのこと海老を器に盛りつけ、実山椒を散らす。
*酢は京都の飯尾醸造の「富士酢」がまろやかで上品に仕上がる。

【白子たけのこの治部煮】

料理:治部煮 last
柔らかな白子たけのこに、歯ごたえのある合鴨。ボリュームのある一品には、骨格のしっかりとした「すめらぎ」を。
1.一口大に切った白子たけのこを、薄口醤油を加えた出汁で30分煮る。
2.合鴨の切り身に塩少々を振り、片栗粉を薄くまぶす。
3.1.の鍋に2.の合鴨を入れ5分煮る。
4.器に盛り、茹でたそら豆を1粒添える。
そら豆の甘みがアクセント。

【白子たけのこのステーキ】

料理:筍ステーキ last
3種のソースでいただく白子たけのこのステーキには、「すめらぎ」「小式部」をいろいろと組みあわせて、味のお楽しみ。
1.白子たけのこの太い部分を輪切りにして、薄く油(米油が油の香りが弱いので最適)をひいたグリルパンで焼く。
2.3種のソースを添える。
ソース3種
・白味噌ソース
京都産白味噌に酒を加え、火にかけて練る。
・練り胡麻ソース
練り胡麻に味醂を加え、火にかけて練る。
器に入れ、いり胡麻少量をトッピング。
・八丁味噌ソース
岡崎市八帖町でつくられる八丁味噌に、酒、味醂を等量加え、火にかけて練る。

【白子たけのこの和風ピラフ】

料理&ワイン:和風ピラフ 小式部 last
米を油でコーティングしてから炊くので、ご飯の一粒一粒がしっかりしています。果実味ゆたかな「小式部」が良く合い、飲み応え食べ応えを楽しむペアリング。
1.米を洗って、30分置いておく。
2.フライパンに米油を入れ、米が透き通るようになるまで炒める。
3.炊飯器に、炒めた米、薄く切った白子たけのこ、舞茸、細切りした油揚げを入れ、だし汁に味醂、あれば国産バルサミコ酢少々を加え、炊く。
4.炊き上がったら、器に盛り、山椒をトッピング。
※たけのこの下茹でポイント
1.白子たけのこ1本に対し、ぬか大さじ1杯の割合で、大き目の鍋で1時間ほどゆがく。
白子たけのこに包丁で縦に切れを入れて置くと、皮を剥きやすい。
2.茹であがった、たけのこを鍋に入れたまま一晩置く。
レシピ監修:細井恵津子(ワインと食のジャーナリスト)
撮影:橋野伸一

すめらぎ-皇-(赤) 750ml

すめらぎ
日本の和食材との相性を追求して生まれた「すめらぎ」。渋みは穏やかで、フレッシュな果実感と美しい酸とのバランスに優れ、上品な樽香が全体を引き締めています。大きめのグラスでゆっくり味わうと、まるでブルゴーニュワインのような華やかで気品高い風味が堪能できます。京たけのこと鴨の治部煮、きんぴら牛蒡などの根菜料理、赤身魚の煮つけやお造りなど、醤油ベースの料理とも好相性。和洋折衷、幅広く料理と楽しめる一本です。
 
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小式部-koshikibu-(赤) 750ml

小式部
上品な果実香と穏やかな渋みが調和し、程よい酸が全体を引き締めています。全ての要素が出すぎることなく、一本の線のようにまとまったバランスの良さ。和食のベースとなる出汁と非常によく合い、魚の煮つけ、しいたけや鶏肉のお椀、まぐろや鰹など赤身魚のお造りとも好相性。会席や割烹料理に寄り添う、日本人の琴線に触れる繊細で可憐な味わいです。「日本産ぶどうを巧みにブレンドし、和食と気軽に楽しんでいただけるワインを造りたい」。その想いからラベルにもお箸と箸置きをシンプルにデザインしています。
 
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伴良美
伴 良美(ばん・よしみ)
ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。


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