Sur Lie(シュール・リー)といえばフランス・ロワールのミュスカデが有名です。
日本語で直訳すると澱の上という意味なのですが、その名の通りワインを澱の上で数ヶ月おいておく製法です。
通常ワインは発酵終了後に沈澱した酵母の澱などを取り除くのですが、シュール・リー製法では数ヶ月間ワインと澱をそのままおいておき、酵母が自己消化してアミノ酸に変化し、ワインに独特の深みを与えてくれます。
通常のワインよりも少し手間と時間のかかる製法ですが、最近では甲州などでも幅広く使われています。
瓶内二次発酵のスパークリングワインも二次発酵終了後は瓶の中でシュール・リー状態になります。
丹波ワインでも数種類、シュール・リー製法を用いたワインを作っています。
今回はオススメのシュール・リーラインナップをご紹介します。
丹波鳥居野シャルドネ 2016
自社農園産シャルドネを使用し、樽発酵、樽熟成、シュール・リーで醸造しました。
酸味、果実味、樽香のバランスが良く、上品で心地よい余韻がたなびきます。
1114本のみの醸造です。
3500円(税別)
基本情報
- 葡萄収穫年 2016年
- 醸造本数 1114本
- タイプ 白ワイン
- 味わい 辛口
- 容 量 750ml
- 葡萄品種 シャルドネ100%
- 葡萄産地 京都府京丹波町
- アルコール 12%
2016年Vintageレポート
4~9月の降水量や日照時間は平年並みであったが、ベレゾン、成長期の7,8月の降水量が平年の半分程度と非常に少なく、8月下旬から9月上旬収穫の早生ぶどうにとっては良い年となった。ただ、晩生品種は9月の長雨で病害の影響を受けたが、収量としてはここ近年で比較的豊作となった。
テイスティングコメント
色 | やや黄色味がっかた緑色、クリアな外観でテリ、ツヤともにあり清澄度良好。粘性は中程度。 |
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香り | ボリュームは中程度。メロンや黄リンゴを思わせるアロマに、樽からの心地よいトースト香に甘いバニラの香りも感じられ複雑。果実香と強すぎない樽香とのバランスがよく心地よい。 |
味 | アタックは滑らかで酸は落ち着きがあり角が取れている。果実味は中程度だがミネラルをしっかり感じることができ、余韻は長め。酸と果実味とのバランスがよく、なめらかな舌触りで全体的に丸みがある。アフターに若干の苦みが感じられアクセントとなっている。ミディアムボディの辛口。 |
総評 | 果実味が凝縮したパワフルなシャルドネではなく、酸、果実味、凝縮感のバランスで勝負する優しいタイプ。白身魚の天ぷらやクリームソースのパスタなどと。 |
丹波鳥居野ピノ・ブラン シュール・リー 2016
日本料理を特に意識して作りました。自社農園産のピノブランを100%使用し、樽で仕込みシュール・リー(澱の上)で熟成させました。日本ではあまり栽培されていない品種です。 穏やかな酸味と洗練された味わいが京料理を中心とした和食にマッチします。
3500円(税別)
基本情報
- 葡萄収穫年 2016年
- 醸造本数 1936本
- タイプ 白ワイン
- 味わい 辛口
- 容 量 750ml
- 葡萄品種 ピノ ブラン100%
- 葡萄産地 京都府京丹波町
- アルコール 11%
テイスティングコメント
色 | 薄い緑がかった黄色。清澄度良好でテリ、ツヤともにあり、健全。粘性は控えめで涙の形成早い。 |
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香り | ボリュームは中程度からやや強め。トップノーズに樽由来のアーモンドの香りを強く感じる。レモン、ライム様の柑橘の香りも感じられるが樽からの香りが支配的。 |
味 | 酸はフレッシュだが穏やか。アタックは強すぎず、穏やかな果実味が心地よい。中盤から樽からの甘いニュアンスと新鮮な果実味が広がり、アルコールはそれほど高く感じないが、余韻がたなびくように続く。アフターに柑橘類を思わせる苦みを感じるミディアムライトの辛口。 |
総評 | 穏やかな果実味とマイルドな酸とのバランスがとれた落ち着いた印象の辛口白ワイン。白身魚の塩焼きや根菜の天ぷらなどと。 |
京丹後産ピノ・ブラン シュール・リー 2016
京都丹後の藤原さんが栽培したピノ・ブランを使用し、搾汁後オーク樽で発酵させ8ヶ月の熟成の後瓶詰しました。上品な樽香とメロンやリンゴを連想させる香り、キレのある酸味や丸みを帯びた果実味を備えています。ワインの旨味を残すため濾過などの処理を最小限にしていますので、にごりが生じる場合がございます。2500円(税別)
基本情報
- 葡萄収穫年 2016年
- 醸造本数 610本
- タイプ 白ワイン
- 味わい 辛口
- 容 量 720ml
- 葡萄品種 ピノ・ブラン
- 葡萄産地 京都府京丹後市弥栄
- アルコール 12%
テイスティングコメント
色 | 淡い黄色みがかった緑色。深みのある落ち着いた外観。 |
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香り | トップノーズに穏やかな樽香が感じられ、メロンや花梨を思わせるフルーツの香りが続く。香りのボリュームは中程度で心地よい。 |
味 | アタックは滑らかで柔らか。活力のある酸と充実した果実味が中盤での味わいの膨らみを演出しており、バランスがよい。酸は強めだが少し角が取れてきており、丸みを帯びたまろやかな印象。フィニッシュは中程度の長さで、アフターに感じるかすかな苦みがアクセントになっており心地よい。 |
総評 | 果実味と酸とのバランスがよく、既に今飲み頃のミディアムボディの辛口。鮎やアマゴなど風味を持った川魚の塩焼きや根菜やキノコを使った和惣菜などと。 |
文:黒井